2017年8月
拝啓
暑さ厳しき折から、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。今月は相続時精算課税制度について御案内させて頂きます。
相続時精算課税制度とは
簡潔に言いますと、届出書を提出すれば、60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子や孫への贈与に適用されて、贈与額が2,500万円までは無税となり(累積金額の為、複数回に分けた贈与でも可能)、超えた金額部分については20%贈与税が掛かるという制度になります。しかしながら、これで完結ではなく、いざ相続となった際にはこの制度を適用して贈与された財産を相続財産として計算し直さなければなりません。
相続時精算課税制度のメリット
上述の通り、相続財産として計算しなおす際には、相続時精算課税制度適用時の時価で財産を評価致します。その為、将来的に値上がりが確実とみられる様な土地については一考の余地が有るかと思います。
相続時精算課税制度のデメリット
一度この制度を適用してしまうと、毎年110万円までの贈与は非課税となる暦年課税制度を適用出来なくなります。また、小規模宅地等の評価減が適用されなくなります。その為、小規模宅地に該当する土地を、この制度を利用して贈与してしまうと納税額が大きく上がる事になります。
相続時精算課税制度の背景
制定された時代背景において、両親と子2人の4人家族が標準的であり、当時の相続税法では基礎控除額5千万円と法定相続人×1千万円が非課税枠となっていた事から、4人家族でお父さんが亡くなると、非課税枠が8千万円であり、残された3人で割ってきりよく、一人頭約2,500万円までなら非課税となる為、同じ無税ならば生前贈与にて若い世代に有効に使ってもらおうという考えが根底にありました。その為、現在には少しそぐわず、又、この制度を利用している場合には、相続財産総額が申告不要枠内であっても申告を行う必要もある為、利用には熟考が必要となる制度と言えますが、上手く活用すれば節税につながるケースもあります。
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作成者 瀬下隼人