2020年11月
拝啓
紅葉の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。朝晩の冷え込みが感じられる季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。早いもので今年も残すところあとわずか2カ月となり、経営者や従業員の皆様におかれましては、毎年の風物詩でもある、あの時期が近づいております。今回は、昨年と比べ大きく変わった「年末調整」についてお知らせ致します。
年末調整とは
先ず、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、そもそも「年末調整とは何の為にするのか?」の復習をしていきます。給与の支払者である会社は、従業員への給与の支払い時に、所定の所得税を預かり、国に納めることとなっていますが、年間を通して会社側が預かった税額と、1年間の従業員の給与から計算される所得税の金額は、一致しないのが通常です。この原因としては、「給与額の増減により、徴収額が変わること」「年の中途に親族の扶養状況の変化により、徴収額が変わること」「生命保険料、地震保険料の控除が、年末調整の手続き後に控除されること」等が挙げられます。以上の原因から、年末に年間の給与から再計算した税額と、毎月、源泉徴収した税額の差額を精算する手続きを「年末調整」と呼びます。給与所得者は基本的には年末調整が行われていれば、確定申告の必要がなくなります。
昨年と変わった点
昨年から改正された点は、以下の4つになります。
1.給与所得控除に関する改正
給与所得に対して課税されない金額(控除額)が原則一律10万円引き下げられ、給与の収入金額162万5千円以下で55万円となり、上限額も圧縮され195万円(給与の収入金額850万円超)となりました。
2.基礎控除及び所得金額調整控除に関する改正
従来、一律38万円だった基礎控除額が、所得に応じた金額となります。合計所得2,400万円以下は48万円、2,400万円超で32万円と変更され、2,500万円超で控除額0円となり、高所得者への増税となっています。
3.扶養親族等の合計所得金額要件等の改正
基礎控除の改正に伴い、扶養親族等に入る為の合計所得金額の要件も、一律10万円引き上げられました。主に同一生計配偶者、扶養親族(38万円以下→48万円以下)等となっています。
4.ひとり親控除及び寡婦控除(寡婦)控除に関する改正
未婚の一人親に配慮した「ひとり親控除」が新設され、従来の寡婦(寡夫)控除も改正されました。今まで寡婦控除の対象とはならなかった未婚のひとり親でも、所得500万円以下であれば、35万円の控除を受けることができます。
上記の改正に伴い、申告書の様式も変わりました。元来あった「給与所得者の配偶者控除等申告書」から、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に変更され、長い名前の通り3つの所得控除を申告する為の書類となっています。
終わりに
改正の他にも、年末調整手続きの電子化に向けた取り組みが行われています。(保険料控除の証明書がデータでの添付でも可能になったこと等)詳しくは、国税庁のホームページまたは、弊所担当者までお気軽にご連絡くださいませ。
敬具
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作成者 薮下 智